残留農薬とポジティブリスト制度

基準値を超えた残留農薬:私たちの「食」は大丈夫?

スーパーの買い物でも不安です

近年、日本へ輸出された中国産の落花生、ニンニク、ネギ、ほうれん草などの農作物から、基準値を超えた残留農薬が検出されたというニュースをテレビや新聞でよく目にします。

国内では、基準値を大幅に上回るメタミドホスが検出された「事故米」が、焼酎や菓子、給食などの食用として使用されていたことが明らかになった事件も記憶に新しいところです。

産地偽装や賞味期限の改ざんなど、食の安全を根底から揺るがす事件が次々と明るみなっていますが、近年はこれら残留農薬の問題もクローズアップされるようになりました。

食料自給率が40%に過ぎない日本では、海外からの食品の輸入が年々増加しています。残留農薬による健康被害に対する消費者の不安感も高まりつつあり、その規制強化が求められるようになりました。

本サイトでは、残留農薬の基準を定めるために2006年に導入された「ポジティブリスト」制度、農作物に使用される農薬に焦点を当てて、客観的な立場から解説していきます。

農薬の残留基準はポジティブリスト制で定められています

新制度が導入されました

従来、食品に使われる農薬の残留基準は、「ネガティブリスト制」に基づいて定められてきました。この制度は、原則規制がなく、自由な枠組みの中で指定された農薬についてのみリスト化し、そこに記載された農薬だけに残留農薬基準が設定されていました。この基準値を超えて残留農薬が検出された農作物は、その流通が禁止されます。

しかし、この制度では、残留基準が定められていない農薬では、規制の対象外となるために、流通することができました。例えば、輸入した冷凍野菜に農薬の残留が検出されても、リストにない農薬であれば、その流通を規制できなかったのです。

そこで、食品の安全性をより徹底して確保するために導入されたのが、残留基準の設定されていない農薬が残留する食品の流通を禁止する「ポジティブリスト制」です。

つまり、ネガティブリスト制が「残留してはならない」ものを一覧表(リスト)に示すのに対し、ポジティブリスト制は「残留を認めるもの」のみを一覧表に示すものです。

ポジティブリスト制度による規制には、3つの大きな柱があります。
1つは、「暫定基準」です。これは、国内や海外で使用される農薬や動物薬、飼料添加物について、国際基準であるCodex(コーデックス)や農薬登録保留基準、先進諸外国の基準を参考として暫定的に基準値が設定され、これをオーバーする食品については流通が禁止されます。

2つ目は、「一律基準」です。基準値が設定されていない農薬等には「人の健康を損なうおそれのない量」として、0.01ppmが適用され、この数値をを超える場合は流通が禁止されます。

3つ目は、ポジティブリスト制度の対象とならない「対象外物質」の設定です。これらは残留しても、人の健康を損なう恐れのない物質です。食品衛生法で重曹やアミノ酸など65物質が定められています。

残留農薬について

ADI(一日摂取許容量)
ADIとは、人が生涯にわたってその農薬を毎日摂取し続けたとしても安全性に問題のない量として定められています。

残留農薬の摂取量
残留基準が守られている限り、実際に体に摂取される残留農薬は、通常1日摂取許容量の100分の1以下となっています。

残留農薬の基準単位
濃度は普通パーセント(%)で示されますが、低い濃度をわかりやすく示すためにppmやppbなどが用いられます。

残留農薬の分析方法
残留農薬の定量分析に使われるのは主にガスクロマトグラフィーと高速液体クロマトグラフィーです。

残留農薬の落とし方
水洗い、皮をむく、調理・加工(煮る、炒める、焼く、蒸す、漬ける)で10~90%程度の残留農薬を減らすことができます。

輸入農産物の検査体制
食品衛生監視員と検査体制の充実をはかり、横浜と神戸検疫所には「輸入食品・検疫検査センター」を設けています。

ポジティブリスト制度

ポジティブリスト制度の仕組み
残留基準の設定されている農薬については、その基準以内であれば作物への残留は認めます。残留基準の設定されていない農薬の残留は原則禁止となります。

一律基準とは
「人の健康を損なう恐れのない量」が一律基準です。残留基準が定められていない農薬等がこの一律基準を超えて残留する食品等はその販売が禁止されます。

暫定基準とは
現時点で残留基準が設定されていない農薬等について、コーデックス基準などを参考に暫定的な基準を定めたものです。

ポジティブリストの対象外物質
農薬等およびその成分が科学的に変化して生成した物質のうち、その残留の状態や程度などからみて、人の健康を損なう恐れがないことが明らかであるものです。

農薬について

農薬の種類と分類
「農作物を害する病害虫、雑草などを防除あるいは制御して作物を保護し、農業の生産性を高めるために使用する薬剤」と定義され、用途、製剤および組成によって分類されています。

生物農薬
病害虫や雑草の防除のために、自然界に存在する微生物や天敵昆虫を利用するもので、登録数は年々増加しています。

ポストハーベスト農薬
収穫後の使用が認められている農薬のことで、日本ではメジャーではありませんが、国際的に幅広く使用されています。

農薬の散布方法
作物の種類、栽培形態、発生している雑草、病害虫の違いによってもっとも安全で効果的な使用方法が用いられます。

農薬の正しい使い方
散布時には防除着はもちろん眼鏡やゴム手袋の着用が大切です。

農薬の安全性評価と審査
農薬は法律「農薬取締法」により、登録制度という一種の認可を受けないと製造することはもちろん、販売することも、使用することもできません。この法律によって安全性を評価する仕組みが整備されています。

リンク

農薬工業会
安心の食生活は、農薬の正しい知識から。農薬に関する情報を提供しています。様々な疑問に答えるQ&Aのコーナーも。

農林水産省
食料の安定供給の確保に努める行政機関。中国産の輸入野菜の農薬問題や国内の産地偽装問題に関する情報も。

タカラバイオ食品安全検査
業界最大級の項目一斉検査パッケージを用意し、残留農薬分析・検査ニーズに対応しています。

栄養成分ガイド
五大栄養素(ビタミン、ミネラル、糖質、脂質、タンパク質)の働きと効果的な調理方法を解説しています。

キューサイ分析研究所
ガスクロマトグラフ質量分析計、高速液体クロマトグラフ質量分析計を用いて、農作物の一斉分析を行っています。

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