農薬残留基準がポジティブリスト制に移行しました

従来、食品に使われる農薬の残留基準は、「ネガティブリスト制」に基づいて定められてきました。

この制度は、原則規制がなく、自由な枠組みの中で指定された農薬についてのみリスト化(ネガティブリスト)し、リストに記載された農薬だけに残留農薬基準が設定されていました。この基準値を超えて残留農薬が検出された農作物は、その流通が禁止されます。

しかし、この制度では、残留基準が定められていない農薬では、規制の対象外となるために、流通することができました。例えば、輸入した冷凍野菜に農薬の残留が検出されても、リストにない農薬であれば、その流通を規制できなかったのです。

食料自給率が40%に過ぎない日本では、海外からの食品の輸入が年々増加しています。残留農薬による健康被害に対する消費者の不安感も高まりつつあり、その規制強化が求められるようになりました。

そこで、食品の安全性をより徹底して確保するために導入されたのが、残留基準の設定されていない農薬が残留する食品の流通を禁止する「ポジティブリスト制」です。

つまり、ネガティブリスト制が「残留してはならない」ものを一覧表(リスト)に示すのに対し、ポジティブリスト制は「残留を認めるもの」のみを一覧表に示すものです。

ポジティブリスト制度による規制には、3つの大きな柱があります。
1つは、「暫定基準」です。これは、国内や海外で使用される農薬や動物薬、飼料添加物について、国際基準であるCodex(コーデックス)や農薬登録保留基準、先進諸外国の基準を参考として暫定的に基準値が設定され、これをオーバーする食品については流通が禁止されます。

2つ目は、「一律基準」です。基準値が設定されていない農薬等には「人の健康を損なうおそれのない量」として、0.01ppmが適用され、この数値をを超える場合は流通が禁止されます。

3つ目は、ポジティブリスト制度の対象とならない「対象外物質」の設定です。これらは残留しても、人の健康を損なう恐れのない物質です。食品衛生法で重曹やアミノ酸など65物質が定められています。